ゲームを「楽しむ」マインドセット

どんなゲームも突き詰めれば対戦であると言えるでしょう。
相手がコンピューターであれ人であれ、あるいは自分自身であれ、なにかと競い争うことが本質にあるからです。

そのなかでも、時代の流れ、通信技術の進歩によりゲームの中心に据えられたのは対戦ゲームかと思います。格ゲーやバトロワ系、MOBA、DCGなど直接戦うものもあれば、RTA音ゲーのようにスコアを競い合うものもあり、今日、多種多様なありさまで人は対戦を楽しんでいるのです。

さて、対戦ゲームは楽しいものですが、しかしその性質ゆえの欠点もあります。

勝てないと楽しくないのです。

それは欠点なのどうなの?と思うかもしれません。
そもそもゲーム自体、クリアできないモヤモヤを抱えるからこそクリアしたときの喜びもひとしおでありますし。
しかし対戦ゲームは、究極には勝率は5割です。対戦相手は、負け続けてくれるAIとは違い、自分と同じ人間なので、一部例外を除けば当然のことです。

ところが、そうなると、人間はだんだん負けの苦しみを強く感じてゆきます。上手くいったことよりも上手くいかなかったことに意識をが向いてしまう、ツァイガルニク効果と呼ばれる人間の本質です。

負けの苦しみが増えると、当然苦しくなってきます。そうなると、例えば態度が悪くなる、ゲームをやらなくなる、周りにあたってしまうなど、逃避行動を取りはじめます。
これらの行動は、社会と関わる人間のマナーという観点に立てば避けるべき行動であることは明らかです。しかし行動の是非とは無関係に、人間は反応してしまいます。よほど大人でなければ、我慢しようとも多少は出てしまいますし、我慢してもいずれ爆発してしまうこともあるでしょう。

ではどう対処しましょうか?

我慢できない、言うなれば対処療法が機能しない場合、考えられる対処法として、根本原因を取り除くことが挙げられます。

根本原因、この場合「勝率5割だと苦しみが勝る」現象の突破方法は、例えば勝率を上げたりと、いくつか考えられますが、もっとも現実的なのはマインドセットを変えることでしょう。

対戦すること自体が楽しい。

この思想に移ればいいのです。
この思想、他の苦しみにも有効です。例えばチーム戦で周りに迷惑かけちゃった、ゲームに時間やお金をつかってしまったなんて考え方にも効きます。そりゃ対戦すること自体が楽しいんだから「負けた=周りも楽しくない=迷惑かけた」とは思いにくくなるはずですし、楽しいものに対して主体的にリソースを割いてる認識になるので時間の浪費という感覚もなくなるでしょう。

でもこれはそんなに簡単ではありません。人は簡単には考え方を変えられないものです。私もこの段階で行き詰まって苦しんでいます。

どうすれば考え方を変えられるか。

これはもはや私にもわかりません。ので、道標として、また自戒の念もこめ、この記事では私の考えたことを記してゆきます。

ポイントは3つ
1.勝つこと以外の目標を建てること
2.自分の状態を認識すること
3.建てた目標に対し定性的な評価をすること

かのジュール・ヴェルヌも言っています。
「人が想像できることは 必ず人が実現できる」
頑張って行きましょう。


1.勝つこと以外の目標を建てること

そもそもなんで勝たなきゃいけないと思ってしまうのでしょうか。その対戦ゲームやってないけど幸せな人もいるわけだから、別にゲームに勝てなかろうが人生に影響はないはずです。でも対戦ゲームをやると勝ちたくなる。

これは単純に対戦ゲームの目標が勝つことだからです。そりゃそうですよね。
勝つことを目標に競い合うから勝てるとうれしいし負けるとくやしい。この心理は対戦ゲームの根底にあるもので、とても切っても切り離せるものではないように思えます。

では対戦ゲームの目標は勝つことしかないのでしょうか?そんなことはありません。

作ってしまえばいいのです。

独りよがりな机上論めいていますが、考えてみれば実は結構普通のことです。
例えば自分の成長を目標に据えてみましょう。別に負けても成長できますよね。むしろ負けたときほど成長できるとすら思えませんか?
あるいはキャラを動かすことそのものを目標に据えてみましょう。キャラ独特の動きをするとか、あるいはキャラのモーション見て楽しむとか。

勝つこと以外にも楽しめそうな気がしてきますね?

改めて、ポイントは勝つこと以外の目標を建てることです。
「勝つこと」という価値観に苦しめられるなら、いっそ捨ててしまおうというわけです。

とはいえそれができれば苦労はしません。そこでふたつめのポイント


2.自分の状態を認識すること

です。
メタ認知療法的ですね。
「ああ俺今勝つことに固執してるなぁ」と認識することで、その思想を打ち消そうという発想です。

ここで大切なのは、この方法によって完全に頭を切り替える必要はないことです。
あくまで認識するだけ。
そもそも勝てないときはネガティブな思考になりがちなので、この状態では何をしてもネガティブにものを捉えます。
その状態で完璧を求めてしまうと、上手くいかないこと可能性が高い上に、上手くいかないと余計苛立ってしまいます。そうすると
負けてイライラ→イライラしてるから自分の状態を認識しても改善できない→改善できないからイライラ
と負のスパイラルです。

あくまで認識するだけ、意外と効果ありますよ。

これらを踏まえて、最後に


3.建てた目標に対し定性的な評価をすること

これをしてください。あくまで定性的な評価です。

定性的という言葉は、特に理知的な人は嫌う傾向にあるかと思います。あいまいですし、問題を解決に導くには定量的な思考の方がいいように思えるからです。
確かにその通りです。しかし、思うに問題を発見したり捉え直すには定性的な思考の方が有用です。それは定量的な思考は数字に意識を取られてしまうからです。

勝つことを追い求めるのがつらくて違う視点を探しているわけです。この状況では「勝つこと以外に追及できるもの、心地よいと感じられるものはないだろうか」と考えるはずです。
ならば評価基準も「たのしい、心地よいと感じられるか」になります。
「この目標にむけてこんなことしたけど、なかなかいいなあ」みたいな。

ここで数字に頼ると、その数字を改善することに意識を取られて気持ちに目が向かなくなります。そうなると結局お題目がすげかわっただけで、同じような苦しみを味わうことになってしまいます。
なので定性的に評価をしてください。

もちろん、「俺はこの価値観でゲームしてくぞ!」というものが見つかれば定量的な思考も使ってください。結局のところ楽しむことが大切であるので、そのために定性的な考えが妨げになるなら捨ててしまうべきです。もちろんずっと定性的に考えてもいいです。
あくまで楽しみかたを見つけようという話です。それさえ達成できればなんでもいいのです。



以上が私の考える「ゲームを楽しむマインドセット」に至るための方法です。
自分自身、対戦ゲームに対してはまだうまく付き合えず、日々右往左往していますが、なんとか上手くやっていきたいと思っています。

同じような悩みをもつ人もいるかもしれません。なかにはゲームを辞めてしまいたいと思う人もいるでしょう。
でも、対戦ゲームは楽しいものです。勝つことに固執するあまり、結果その楽しみを捨ててしまうのはもったいない。
一緒にがんばりましょう。必ず上手くいきます。


最後に、私の好きな漫画の、特に好きなワンシーンでもってお別れとさせて頂きます。






















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もんくあんのかころすぞ